除籍謄本を1通ください
こんばんは、戸籍吏のタコジマ( @takojima )です。
よく、除籍謄本を1通ください
なんて窓口で仰る方がいらっしゃいます。
これには、いくつかの意味があります。
- 死亡日の記載がある戸籍(除籍謄本とは限らない)が必要である。
- 相続などに使うために、出生から死亡(あるいは、婚姻から死亡)の一連の戸籍(1通とは限らない)が必要である。
大体はこのどちらかです。
まず、除籍謄本(最近は除籍全部事項証明という場合が多い。)というのは、戸籍謄本(最近は戸籍全部事項証明という場合が多い。)を構成する人が全て、婚姻や死亡などで除籍となった書類のことです。
婚姻で除籍ってどういうことだよ!
戸籍簿は現行の戸籍法では親と子だけで編成します。
結婚したら親の戸籍から抜けるわけですね。
第六条 戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。ただし、日本人でない者(以下「外国人」という。)と婚姻をした者又は配偶者がない者について新たに戸籍を編製するときは、その者及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。
婚姻に限らず、戸籍に変動を伴う届出がいろいろあって、1つの戸籍から誰もいなくなった戸籍謄本のことを除籍謄本と呼ぶわけです。
ということで、戸籍の構成員が死亡などで除籍となっても、他の人が残っていれば、除籍謄本ではなく戸籍謄本と呼びます。
改製原戸籍ってなんだよ!
戸籍は戸籍法という法律に基づいて編成されますが、戸籍法は何度か改正されています。
最近だと、戸籍事務の電子処理化による戸籍改製があります。
第百十八条 法務大臣の指定する市町村長は、法務省令の定めるところにより戸籍事務の全部又は一部を電子情報処理組織によつて取り扱うことができる。
電算化後の戸籍謄本(戸籍全部事項証明)に対して、電算化前の戸籍謄本を改製原戸籍と呼びます。
この電算化による改製原戸籍を平成改製原戸籍と呼んだりもします。
このような法改正を経ているので、改製原戸籍や除籍謄本は1種類とは限らないのです。
これに婚姻、離婚、縁組、離縁などで新たに編成された戸籍を持っている人もいるので、出生から死亡まで
の戸籍は1通ではない場合がほとんどです。
戸籍の交付を請求する際には
というわけで、戸籍を請求する際には、
- 出生から死亡
- 婚姻から死亡
- 死亡の記載があるもの
というように指定すると、自分の用途に合ったものが交付される可能性が高いです。
注意する点としては、金融機関などの窓口で除籍謄本を持ってきてほしいと言われても、それは除籍謄本ではない可能性があるし、改製原戸籍を持ってきてほしいと言われても、それは1通とは限らないということなのです。